不動産鑑定士が実務において調べた不動産鑑定理論や建築基準法等について綴ります。

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LTV(有利子負債比率)と投資判断

LTV(えるてぃーぶい、Loan To Value)は有利子負債を総資産で除して算出します。
有利子負債を簡単にいうと、銀行等での借金です。
マイナス金利時代なので、相当に低い金利で借りています。

LTV(有利子負債比率)と投資判断

ほとんどの銘柄がまともなのであまり詳しく見る必要はないですが、50%以下が適正水準といわれています。
低ければ良いかというとそうでもなく、

1.借りれる余力があるのに借金をしていない
2.借金したら買えたはずの物件を買えていない
3.買えたはずの物件が生み出す賃料を収受できない
4.分配金が少ない

ということになり、ベストを尽くせていないことになります。
もっとも、安全資産である現金を留保しているという意味では、リスク回避につながるので、悪いとはいえませんが。。

結 論

買おうと思った銘柄が50%以下が否かをチラ見する程度で良いかと思います。
ほとんどの銘柄は40%台です。
(次表の出所:不動産証券化協会)

さらに突っ込んだ話をすると、資産に対する借金の割合であるLTVも大事ですが「低い金利で借りれているのか」も大事です。
これは、各投資法人のサイトで公開されている「資金の借入に関するお知らせ」で知ることができます。
低い金利で借りれているほうがいいですし、一般的に、変動金利よりも固定金利のほうがプラスです。

例えば、

8963 インヴィンシブル(ホテル):全日銀1か月日本円TIBOR(基準金利)+0.25000%
8951 日本ビルファンド(オフィス):0.27%

です。

インヴィンシブルは基準金利に+0.25%の変動金利です。
基準金利を数値化すると記事作成時現在、約0.29%となります。
日本ビルファンドは固定金利の0.27%であり、インヴィンシブルよりも金利が低いうえに固定金利なため、インヴィンシブルよりも有利な条件で借金が出来ています。
これは、ホテルというアセットがオフィスよりもリスクが高いために、生じている現象ですが、同じオフィス同士でも条件が違う場合があり、基本的には低い利息で借金できているリートのほうが優秀です。

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