不動産鑑定士が実務において調べた不動産鑑定理論や建築基準法等について綴ります。

不動産鑑定士のブログ

投資用ワンルームマンションに自分で住む!!

投資用ワンルームマンションに自分で住むのは得なのか損なのか?について検証してみました。

結論から言いますと、

現在、賃貸マンションに住んでいる
現金一括購入することができる
安く買うことができる

の条件が揃った場合に限り、ワンルームマンションを買って住むのはアリです

なぜ、投資用マンションに住むのはナシと言われているのか?

一般に、なぜ投資用マンションに住むのはナシとされているのかというと、

住宅ローン減税がない(自用の特権)
減価償却費が計上できない(投資用の特権)

の2点が大きいためです。

住宅ローン減税は「40㎡」以上のマンションの場合に限られますので、投資用のワンルームマンションでは対象外となることが多いです。
もちろん、40㎡超のマンションであれば問題ないのですが、後々に賃貸することを考えると一括返済を求められる可能性がありますのでリスキーです。
減価償却費は事業用ではなく、自用で使用する場合には計上できません。

では、やはりダメなのではないかと思われますが、計算をしてみるとそうとも言えません。

ワンルームマンションの収支計算

早速、収支を計算してみよう

■購入予定のマンション

RC造、築15年、33㎡
残存耐用年数:35年
土地:建物比率=50%:50%

購入総額:18,000,000円

想定家賃:月額80,000円
管理費:月額8,350円
修繕積立金:月額4,860円
固都税:年額60,000円
その他費用:年額96,000円(=年額収入×10%)

賃貸する場合

収入合計:年額960,000円(=80,000×12)
支出合計:年額314,520円(=(8,350+4,860)×12+60,000+96,000)
利益:645,480円

減価償却費:年額257,143円(=18,000,000×50%÷35)
課税利益:年額388,337円(=645,480-257,143)

所得税率:25%
所得税額:年額77,667円

手残り:567,812円(=645,480-77,667)

自分で住んだら

収入合計:年額960,000円(=80,000×12)
支出合計:年額218,520円(=(8,350+4,860)×12+60,000)

手残り:741,480円(=960,000-218,520)

手残り差額:年間17万円程度

結論

このように、自分で住んだ場合のほうが、所得税がかからないため、手残りが多くなり、自用のほうが儲かることがわかりました。
上記の収支計算は一例に過ぎませんが、現在の家賃よりも、購入予定マンションの想定家賃が低い場合は、さらに手残りが増えることになります。
逆に、想定賃料が高いマンションを買うと、現在との賃料差額がマイナスになるので、損をする可能性があります。

また、単純に計算すると上記の通りですが、実際にはマンションの価格と賃料相場は下落するものですので、そのあたりも考慮に入れる必要があります。
例えば、年間17万円プラスになったとしても、10年後にマンション価格が170万円以上下落していると損失が出るわけです。
したがって、マンションを安く買う必要があるため、新築の投資用マンションは価格が下落するので不適格となります。
新築が不適格となる以上、中古がターゲットとなりますが、中古投資用マンションに融資はつきませんし、ついたとしても金利が高いので上記のような利益はでません。

したがって、投資用ワンルームマンションに自分で住んだら得になるケースとは、
現在支払っている家賃よりも想定賃料が安く
本来の価値よりも安く売られている中古マンション見つけることができ
それを融資なしで一括購入できる
の全てが揃った場合ということになります。

  • B!