不動産鑑定評価 継続賃料

公平の原則

継続賃料において大事なのは、賃貸人・賃借人双方の公平です。

公平は裁判所が重視しますので、
・作成した鑑定評価書は公平か?
・相手方から提出された鑑定評価書は公平か?
・裁判鑑定(中立鑑定)で提出された鑑定評価書は公平か?
をチェックする必要があります。

そのチェック項目の一つとして、公平の原則があります。

公平の原則は、「不動産鑑定評価基準に関する実務指針」に記載があります。
内容は以下の通りです。

現行賃料の増減については、ウ及びエを総合的に考慮すると、現行賃料で賃貸借等の当事者間を拘束することが公平に反する場合に行われること。また、継続賃料は、契約当事者間の公平を考慮すると、原則、現行賃料と正常賃料の間で決定されること。

上の文章で大事なのは、
継続賃料は、原則、現行賃料と正常賃料の間で決定されること
ということです。

現行賃料とは、現在の賃料のことです。
正常賃料とは、新規賃料のことです。

現行賃料と正常賃料は、継続賃料査定の手法である「差額配分法」の適用において使用します。
鑑定評価書においては、差額の査定をしている箇所で記載があるはずです。

賃料増額請求時においては、
現行賃料<継続賃料<正常賃料
の並びになります。

賃料減額請求時においては、
正常賃料<継続賃料<現行賃料
の並びになります。

特に、地価や市場賃料が著しく上昇・下落している場合において、利回り法やスライド法が異常値を示す場合があります。
手法の重み付けにおいて、異常値の手法を重視したり、平等に扱うと、現行賃料と正常賃料の間から鑑定評価額が外れることが多いです。

特に、勉強不足の不動産鑑定士が作成した鑑定評価書においては、公平の原則が守られていないことが多々あります。

相手方からこのような鑑定評価書が提出された場合には「公平の原則すら守られていない論ずるに値しない鑑定評価書」と主張できます。
公平を重視する継続賃料において、公平と名付けられた原則に違反しているのは、少なくとも裁判官の心象を悪くする材料にはなると思われます。

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