建ぺい率

角地緩和を詳しく説明します

不動産を取得する際に、建ぺい率を超過していた場合、遵法性の観点から融資を受けれない可能性があります。
そのような場合には、適用される建ぺい率の緩和規定がないかを調査することになるのですが、今回は角地緩和について実務上の取り扱いをお話します。

角地緩和とは?

角地緩和とは、角地や二方路地等の不動産の場合、建ぺい率が10%緩和される規定です。
根拠条文は建築基準法第53条第3項第2号にて規定されています。

建築基準法第53条第3項第2号

街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物

なぜ建ぺい率が緩和されるのか?

そもそも建ぺい率は「日照や通風など環境を衛生に保ち、防火や避難などの安全性を備えることを目的」としたものです。
ですので、角地や二方路地、広場等に面する建物は、多少大きく建てたとしても、環境や避難などの安全に問題がないことから、そのような敷地の場合は建ぺい率を緩和する規定です。

どのような土地に建ぺい率の緩和規定が適用されるのか?

では、どのような角地でも緩和されるのかというと、規定が存在します。
この規定は特定行政庁ごとに存するため、明らかに角地だからイケるだろうと安易に判断すると痛い目に合います。
以下で大阪の緩和規定を紹介しますが、例えば、大阪府の規定では接面道路の幅員が6m未満の場合は200m²以上の敷地は適用外となりますが、大阪市の規定では適用ありとなります。
大阪府と大阪市は同じ大阪であるにも関わらず規定が異なることから分かるように、他府県ではさらに規定が異なります。
あの時は適用されたから、この市でも当然適用されるだろう!という判断をしてはいけません。

角地緩和は特定行政庁ごとに規定が異なるので必ず調べましょう!

また、以下の例で示すとおり、外周の長さ、地積、角度、奥行き、道路幅員など、調査項目が複数あります。条件が際どい場合は、必要項目を調査したうえで、適用の可否を役所の担当部署(建築指導課)などに相談し、お墨付きをもらいましょう。
なお、最近の建築計画概要書には角地緩和の適用がある旨の記載がある場合がありますので、建築計画概要書は必ず取得しましょう。

大阪府の角地緩和規定

まず、大阪府では以下のように規定されています。大阪府内の建築主事をおいていない市町村(特定行政庁ではない)に適用されます。

大阪府建築基準法施行細則 第四条

法第五十三条第三項第二号の規定により知事が指定する敷地は、次に掲げるもの
とする。
一 内角が百二十度以下の二つの道路によってできた角敷地で、その周辺の三分の一以上がそれらの道路に接し、かつ、次のイ又はロに該当するもの
イ それらの道路の幅員が、それぞれ六メートル以上でその和が十五メートル以上のもの
ロ それらの道路の幅員が、それぞれ四メートル以上で、敷地の面積が二百平方メートル以下のもの

二 間隔二十五メートル以下の二つの道路の間にある敷地で、その周辺の四分の一以上がそれらの道路に接し、かつ、次のイ又はロに該当するもの
イ それらの道路の幅員が、それぞれ六メートル以上でその和が十五メートル以上のもの
ロ それらの道路の幅員が、それぞれ四メートル以上で、敷地の面積が二百平方メートル以下のもの

三 公園、広場、水面その他これらに類するものに接する敷地で、前二号のいずれかに準ずると認められるもの (事前相談が必要)

大阪市の角地緩和規定

また、大阪府内にある、大阪市では以下のように規定されています。大阪市は建築主事をおいている特定行政庁ですので、大阪府の規定は適用されず、大阪市の規定のみ適用されます。

大阪市建築基準法施行細則 第15条

法第 53条第3項第2号の規定により、建ぺい率を軽減することができる敷地は、次の各号のいずれかに該当するも のとする。

(1) 内角 150 度以下の2つの道路の角にある敷地で、それらの道路のうち、一方の道路の幅員が 10メートル以上ある場合又はそれらの道路の幅員が4メートル以上で、その角をはさむ2辺の長さがそれぞれ2メートル以上の街角の切取り若しくはそれぞれ2メートル以上の建築物のすみ切りがある場合であつて、かつ、それらの道路に接する長さの和が敷地外周の長さの3分の1以上あるもの

(2) 間隔が 35メートル以下の2つの道路にはさまれた敷地で、それらの道路の幅員がそれぞれ4メートル以上あり、かつ、それらの道路に 接する長さの和が敷地外周の長さの4分の1以上あるもの

(3) 公園、広場、河川、海その他これらに類するものに接する敷地で、前2号のいずれかと同等以上に安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められるもの

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