滋賀県の競売に参加してみました!
どういう根拠で、いくらで入札したかを記事にしましたので、ご参考になればと思います。
BITで公開されていた情報はこのとおり。
滋賀県湖南市のファミリー向けの区分所有マンションです。
一緒に入札額を考えてみてください。
では、試算していきましょう。
鑑定評価においては、「積算法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3手法で査定することになりますが、「積算法」は区分所有建物でやっても有用性が低いので、今回は「取引事例比較法」「収益還元法」を適用しました。
取引事例比較法
対象建物は10階建ての3階部分、72.35㎡、南西向きです。
成約事例はレインズでチェックしますが、3点セットにも成約事例は載っています。
3点セットに記載のある成約事例は2事例でした。
・10,117,800円(6階部分 69.3㎡)
・11,157,300円(8階部分 69.3㎡)
対象は事例よりも面積が大きいので、1千万円程度では売れそうですね。
レインズが見れるなら、他の事例もチェックしておきます。
この物件の場合、過去に700万円台の事例がありましたので、必ずしも1千万円で売れるとも言い切れなそうです。
また、希望売買価格に対し、50~100万円程度値引きして成約している事例が多いようです。
次は、現在、市場で売り出されている価格をチェックします。
レインズまたはホームズなどで探します。
この物件はレインズで3件売りがありました。
そのうち1件は、
・9,500,000円(5階部分 69.3㎡)
でした。
過去の値引率を考慮すると、交渉次第では900万円で購入できそうです。
この900万円の部屋は改装前ですので、それは考慮する必要があります。
収益還元法
まず、賃料収入を査定します。
レインズやホームズなどで、現在の募集賃料を把握します。
この物件の場合、募集はありませんでしたが、過去の賃料はおおよそ7~7.5万円程度でした。
ある程度情報を集めたら、地元の不動産業者に電話してヒアリングしてみます。
賃料について
「あんまり賃貸は多く無いけど、7万円前半ぐらいかな?」
駐車場について
「別途5千円ぐらいですね」
埋まるまでの期間
「タイミングもあるだろうけど、数ヶ月あれば埋まると思う」
とのことなので、月額賃料収入は7.3万円と想定しました。
次に支出ですが、3点セットに管理費と修繕積立金、固都税の額が記載されていますので、最低限の費用がわかります。
・管理費:6,140円(月額)
・修繕積立金:10,150円(月額)
・自治会費:500円(月額)
・固定資産税:57,577円(年額)
さらに、室内の修繕費や管理費、保険料を考慮しますので、
費用:月額21,588円以上
が必要となります。
今回の月額費用は2.5万円としました。
空室率については、ファミリー向けということを考慮して、5年毎に入れ替わりがあり、入居までに3ヶ月かかることを想定し、3÷60ヶ月で5%と査定しました。
利回りについては、3点セットには割引率7%、最終還元利回り8%とあります。
今回は7.5%としました。
以上の数値を使用して収益価格を査定すると以下の通りとなります。
(73,000円×12ヶ月)×(1-5%)-(25,000円×12ヶ月)=532,200円
532,200円÷7.5%≒7,096,000円
若干簡易化しておりますが、約700万円となりました。
査定額の決定
以上により、
収益還元法 700万円
を査定しました。
ファミリー向けの区分所有マンションは、実需の買いがメインなので、基本的には取引事例比較法1択で市場の価格は決まります。
なので、この物件の価格は900万円でいいかと思います。
ただし、取引事例比較法の900万円は空室を前提とした価格です。
競売物件の場合は、所有者が居残っている場合が多く、3点セットを確認すると本物件においては
「目的物件の競売で、売却されれば、私は子供の所へでも行こうと考えています。」
との記載がありますので、すんなり出ていってくれるかは不透明です。
出ていってくれない場合は、力づくで追い出すことはできませんので、交渉するか裁判所の力を借りて強制退去させることとなります。
いずれにしても残留物が残ることも考慮すると、50~100万円ぐらいは覚悟しておきたいです。
そうなると、850万円以下で入札する必要があります。
鑑定評価ではないので、ズバリの価格を査定する必要はありませんので、査定額は850万円以下としました。
入札する
査定額で入札するわけではありません。
自分自身がどこまで許容できるか、ライバルはいくらで札を入れてくるか、を想定して入札する必要があります。
まず、自分自身がどこまで許容できるかですが、今回の目的は収益化ですので、それを前提に計算しました。
リートやインフラファンドでも6%程度のリターンはあるので、せめて6.5%は欲しいところです。
さらに、立ち退き費用と賃貸できる程度の改装費も考慮します。
収入合計532,200円÷6.5%-100万円≒720万円
次に、ライバルがいくらで札を入れるかですが、想定されるライバルは以下の2属性がと思います。
・リフォームして再販する不動産業者
・個人のエンドユーザー
不動産業者ですが、成約事例を考慮すると転売価格は高くても、1100万円ぐらいかと思います。
立ち退き費用とリフォーム費用を100万円とし、業者利潤を20%とすると、以下になります。
(1100万円-100万円)×80%≒800万円
個人のエンドユーザーですが、ダメ元の売却基準価額が多いと思いますが、上は最悪1千万円まで入れてくる可能性があります。
考慮のしようがないので、考慮外としました。
というわけで、
相手を出し抜かないと落札はできません。
その反面、一人で突っ走ると無駄に高い金額を払うこととなります。
ここからはいくらリスクを負えるかになるのですが、私はこのよう考えました。
・立ち退き及びリフォーム費用を100万円
・リフォームしている場合は最低でも1000万円では売れる
・売却には約50万円程度の費用が必要
となると、850万円(=1000-100-50)程度は許容できます。
ライバルの800万円を考慮しつつも、自分が欲しい額よりは高いので、超欲しいわけではないということを考慮して、
810万1千円
で入札しました!
さて、どうなるでしょうか!!
落札価額の公開!
結果は、以下の通りです。
普通に空き室を買うくらいの値段で落札されました><
落札者が法人なので、不動産業者だと思いますが、個人が自用目的で会社名義で購入したのかもしれません。
千円単位で刻んでいるところがプロっぽいですけどね。
ちなみに、入札時に950万円で売りに出されていた部屋は、900万円で成約済みとなっていました。
よって、この落札者は900万円で買える部屋を、居残り人がいる部屋を同額で買った可能性がありますので、高値買いの可能性が高いです。
今回は残念でしたが、900万円は割に合わないのでしょうがない結果ですね。